2012年1月2日月曜日

なぜセーター等の毛糸は、洗濯で縮むのか?

Photo: 多和平http://www.sip.or.jp/~tawa360/kegari.html

実家から自宅に戻りました。
これから大量に洗濯をしないと行けないのですが、冬場はセーターが厄介です。

私は実家で習った手洗い方法を踏襲してやっていますが、これが中々面倒くさい。
下手に洗うと縮んでしまいます。
なぜセーター等の毛糸は洗濯で縮むのか


今日はこれをネタにしたいと思います。

まず、”毛”とは何でしょうか?
Wikipediaによるとケラチンというタンパク質からできており、層構造に成っているということです。この層構造の一番外側がいわゆるクチクル(キューティクル)でと呼ばれます。
このクチクルは非常に頑丈な物質で、毛がぴーんとしているのはこのクチクルのおかげです。毛の表面を鱗のように覆っています。

では水に濡れて、セーターが縮んでしまうのはなぜでしょう?
前述のクチクルを構成するケラチンはジスルフィド結合という化学結合を持っています。
このジスルフィド結合は普段は非常に強固ですが、温度変化やアルカリに弱い性質を持っています。
そのため一旦温水に入れたり、洗剤(普通のものはアルカリ)に入れたりすると、表面のジスルフィド結合が弱まり、鱗のように表面を覆っているケラチンが逆立ちます。

この逆立ったケラチンが絡まり合って固まることで、毛糸は洗濯に依って縮むようです。
(一般にはフエルト化というらしい)


この毛の特性を活かしたものが、実はパーマなようです。
ジスルフィド結合を還元して髪の毛を柔らかくして癖付けを行った後、
髪の毛を参加することでジスルフィド結合を再構成して、持続性のあるパーマが使われています。
もちろん、髪の毛のケラチンを健康に保つためのシャンプーなんかもたくさんあります。


毛糸ものを洗う洗剤と、
髪の毛を洗うシャンプーと、
実は同じ毛のタンパク質の性質からできているようです。

個人的には動物の毛と人間の毛が、大体同じであることにびっくりしました。




2012年1月1日日曜日

なぜ青魚は酢でしめるのか?

2012年の元旦です。
皆様本年もよろしくお願いいたします。

年初なのですが、三日坊主に成らないようにちゃんとネタを書きたいと思います。

例年、我が家は家族で元旦におせちを囲んで食事するのですが、
今年は酢でしめたコハダがありました。

青魚をしめたものは好物でしてぱくぱく食べてしまうのですが、そういえば青魚を酢でしめる理由を知らないなぁと思いまして、本日のネタにしようと思います。

青魚はサバ、コハダに代表するいわゆる”光り物”と呼ばれる魚達です。
彼らの売りはDHA(ドコサヘキサエン酸)EPA(エイコサペンタエン酸)といったサプリメントなどに利用される健康増進成分が豊富に含まれていることです。


一方でこれらの青魚は”食べたら蕁麻疹が出た”とか”アレルギー持ち”といったことも聞きます。
その原因は同じく青魚に豊富にあるヒスチジン脱炭酸(カルボン酸から炭酸が抜ける化学反応)を経てヒスタミンに変わることで生じているそうです。


このヒスタミンの多量接種により食中毒の症状がでるそうです。


ということは、食酢でしめる理由がなんとなくわかりました。
脱炭酸の対象となる他のカルボン酸をたくさん用意してあげれば、ヒスチジンからヒスタミンに変化する量を相対的に抑えることができそうです。
食酢には酢酸をはじめ、リンゴ酸、コハク酸など色々なカルボン酸が入っていますので、そういうことと思われます。






さて、ということは魚加工の現場にはヒスタミンを調べることで魚の鮮度を調べる技術があるに違いない。
ありました。


エイブル株式会社さんの"魚の加工法とこれを用いる分析計"
特許公開2002-262764
(なんかすげぇ中途半端に公報の内容が途切れているけどいいのかこれ笑)


特許登録まではされていないようですが、上記文献内によると2000年時点で漁業現場で科学的に鮮度を図る手段が確立されていないという様子です。10年たって漁業現場の人はこの製品とか使ってるんですかね?











一方でそんな青魚のヒスタミン中毒を回避する画期的技術が徳島県から生まれていました。
徳島県が特許取得した”削り節の製造方法と削り節”
特許2001-235432

要約すると、
『魚はヒスタミン中毒を起こす恐れがあるので、鶏胸肉で削り節をつくりました!』

すげぇ。

阿波尾鶏の削り節
http://www.pref.tokushima.jp/tafftsc/chikuken/outline/business/poultry-farming/specialpermission.html